なぜターンアウトが重要なのか

「ターンアウトはバレエを踊る上で重要な動き」とブログで書きましたが、
なぜそんなにターンアウトが重要なのか。
なぜ先生たちはターンアウトを毎回のレッスンで繰り返し言うのか。
バレエってそんなものだから。。。ではなく(笑)、文献などを調べた方がこちらで書いていました。

この話をするのに16世紀までさかのぼります。
16世紀の舞台では、観客が3か所または4か所の角度からダンサーを観ていました。
その当時の足元はまだパラレル(平衡)を保った状態で前後に動いていました。

Le “bal des Polonais”

徐々に舞台が変わり、17世紀には今の舞台のように観客が1方向から観るようになりました。
(16世紀から17世紀まではターンアウトについて論議されている書物はあるけど、17世紀後半にはあまり書かれていないので、そのころまでに確立したのだろうと推測されています)

Theatre-versailles


話が横にそれますが、François de Lauze(16世紀のフランスのダンス専門家)は、
「女性の脚は長いスカートで隠されているため、男性だけがターンアウトを必要としている」と書き残しています。


18世紀にはターンアウトは当たり前のようにダンサーがしていました。
そのころのドイツの体操の先生であるGerhard Viethがこう書き残しています。

「ダンサーが正面(お客さんがいる方)を向いて踊る際に、つま先とひざが同じ方向を向いたパラレル(平衡)を保ったままだと、観客はひざを曲げてもひざを曲げたと認識せず、ただダンサーが短くなったと認識されてしまう。
その結果、観る人はダンサーの動きがあまり理解できず、踊りの表現も動きの幅も狭まってしまう。

さらに、前後にステップをする場合、後足のつま先が前足のかかとにぶつかったり、曲がったりして、すべての軽さとスピードのステップを奪ってしまう。特に後足のつま先が最も不安定で不器用に見えてしまう」、と。

また、ダンサーが正面を向いて、横移動のステップを観客が目にすることでインパクトを与えたが、大きな劇場で踊る場合(上半身を大きく変えることなく)、足がまっすぐなパラレル(平衡)のままだと横に重心移動をさせることもできない、と。


つまり、お客さんがいる場所、ダンサーを観る角度が変わったことによって、ダンサーは動きを大きくまた美しく見せるために考え出されたテクニックがターンアウトだったわけです。

確かにひざの曲げ伸ばしが見えないまま頭が上下に動いてもただ足が短くなったとしか見えないでしょうし、何をやってるのかわからないものを見るほど退屈なことはないですよね。
前方に観客がいるから左右に動いてステップの大きさを見せ、また表現したかった。
その表現を安定して見せるためにためにターンアウトのようにつま先が外を向く必要があったのだなぁ。

調べれば調べるほど、当時のダンサーたちの踊りに対する取り組みや美意識に驚くばかりです。
彼らのように歴史が変わるくらい観客にどう見られて、どう魅せたいかを考えないといけませね。

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