表現力を上げるには

クラシックバレエやコンテンポラリーのオンラインコンクールの審査員をしていると、
ひと際目立つ表現をする子、心を引き寄せる表現をする子たちに出会います。

そんな子たちの何がほかの子たちと違うかというと

視線。


考えながら自分の踊りに集中している子たちの視線はずっと床の上を見て、表現が乏しく、リズムもテンポもあいまいになりがち。
そして視線が一定なので、空間の使い方も狭くなり、テクニックさえも見えにくい。

また口元だけの笑みで、どこ・だれ・何を見て表現しているのかが見えないダンサーもいます。

ひと際目立つ踊りをするダンサーは、感情も音楽も体の中に入っていて、それを踊りだけでなく視線でも表現しています。
視線は舞台の先にいる人たちに話しかけるような使い方をしていて、
視線が動くから手足が動き、視線の動きがあるから表情も豊かに見えます。

espoirより

視線がはっきりしている人は、賢くまた魅力的に見えるとデータにも出ています。
(視線があいまいな人と目が合わなかったり、それた場合は安心するという結果も出ています)

この場合の「賢い」と言うのは、自分の考えをしっかり持っているという意味でしょうね。
自分の考えを持ち、それを伝える。
それが目の動きに出て、表現につながる。

その目の動きはどうすればはっきり見えるようになるのか。
どこでもできる練習方法

目の前にある物をみてください。
何でもいいです、ペンでもコップでもリンゴでも。
その物質をしっかりみつめ、色、形、硬さ、温度、においを感じ取ります。
触らないので、硬さや温度は想像になりますが、それを目から情報を得る。

それが「みる」と言うことだと武道の先生に教えていただきました。
ぼんやり眺めてるだけでは見たうちに入らない。
ほとんどの人が眺めているだけだから、記憶にも残らないし、伝えることもできないと。

「みる」から「伝える」ことができる。
自分が共感する部分だけを表現するのではなく、共感しないこともあるがまま表現する。

その役の人物は何を見て、何を感じ、何を伝えたいのか
頭の中の考えを飛び越えて、視線でも表現できる踊りをするダンサーは、見ている人の心を引き寄せるのだと思います。

「目は口ほどに物を言う」とはよく言ったものですね

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